設計施工一貫方式ならゼネコン?地元の建設会社?それぞれのメリットを比較してみた
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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
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設計施工一貫方式を担うのは、ゼネコンに限りません。地元の会社の中にも設計部門をもつ建設会社があり、元請として下請を取りまとめながら設計施工を行います。では、建築工事を依頼するなら、どちらを選ぶべきでしょうか。それぞれについて述べながら比較検討します。
ゼネコンと建設会社のちがい
大手の建設会社はゼネコンと呼ばれますが、これは「General Contractor」の略称で、直訳すると「総合請負業」です。つまり建築や土木などの建設工事を施主から請け負う総合建設会社のことです。
国家プロジェクトを手がけるような大規模ゼネコンはスーパーゼネコンと呼ばれ、続いて規模の大きさ順に大手ゼネコン、中堅ゼネコンがあり、さらに都道府県内や市区町村内など特定のエリアで事業を展開する地場ゼネコンがあります。
ゼネコンは施工管理を担うだけでなく、多くは設計部門をもち、調査や研究なども行います。建設会社の多くは施工のみ請け負いますが、なかには設計部門をもつ会社もあります。しかし調査や研究を行う建設会社はほとんどなく、これがゼネコンとのちがいといえます。
また、請け負う工事の規模がちがいます。ゼネコンは特定建設業許可を受け、元請として下請業社を取りまとめながら大規模な建設工事を行います。建設会社は一般建設業許可を受け、元請として自社で施工を行います。限られた範囲で下請に出すことや、ゼネコンの下請として施工を担うこともあります。
ゼネコンに頼むメリット
ゼネコンは自社の調査・開発部門を擁し、独自のノウハウや高い技術力をもちます。それらをもとに「ZEB(ゼブ)」や「脱炭素」、「CASBEE(キャスビー)」や「WELL認証」など、社会的課題の解決を支援してくれます。
大規模な公共工事では多くの協力業者を動員して、定められた工期で工事を完了させます。記憶に新しいところでは、東京五輪の会場整備で計画が二転三転するなか、大手ゼネコンがそれぞれ請け負った施設を完成させました。
- ZEB(ゼブ)は「Net Zero Energy Building」の略称。快適性を保ちながらエネルギー収支をゼロにする建築物
- 脱炭素は、二酸化炭素の排出をゼロにする取り組み
- CASBEE(キャスビー)は「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(建築環境総合性能評価システム)」の略語で、建築物を環境性能で評価・格付けする手法
- WELL認証は、建物の環境・エネルギー性能と、そこで過ごす人の心身の健康を評価するシステム
地元の建設会社に頼むメリット
地元の建設会社は、メンテナンスを必要とする際など、いざという時に頼れる身近な存在です。機動力のあるアフター対応は、施主にとっては地元建設会社を選ぶ何よりのメリットでしょう。
当然ながら地元の土地や気候にくわしく、風土に沿った設計施工を行います。それはランニングコストの削減や、時に被災をまぬがれることにつながります。
さらに設計部門をもつ建設会社は見積算出や工期設定が明快で、コスト削減や工期短縮が見込めます。しかも担当窓口である営業から設計と施工まで密に連携を取るので、施主にとってはコミュニケーションが図りやすく、要望を実現しやすくなります。
まとめ
地場ゼネコンは広く全国展開するゼネコンとはちがい、基盤はあくまでも地元にあり、その点は地元の建設会社と変わりません。社員には地元出身者が多く、同じ業界から口コミや前評判が聞こえてくるはずです。
そのちがいを挙げるとすれば、地元の建設会社は、地場ゼネコンと比較して小規模な工事を請け負うことが多いこと。また地場ゼネコンは地元の公共工事に強く、建設会社は地元の民間工事に強いと言えます。
建築工事の規模に応じて、得意とする分野や技術力、自社との相性を見極めながら交渉を進めましょう。
設計施工一貫方式について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
建設会社の選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
- 執筆者
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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
営業企画課課長。工場管理経験と設計業務を経験し、2018年にSAWAMURAに建設プロデューサーとして入社。現場・設計・営業を知るオールラウンダー。
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