【導入検討時に役立つ】既存工場のクリーンルーム導入で後悔しないためのポイント
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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
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近年では、製品の衛生面や安全性がますます重要視されており、既存工場にクリーンルームの導入を検討する企業が増えています。
弊社にも「工場内の空きスペースをクリーンルーム化したい」「コストを抑えた設備を導入したい」といった要望が寄せられることがあります。ただし、既存工場の設計や設備を正しく把握しなければ、必要な環境基準を満たせなかったり、躯体改修工事が必要になるケースもあるのです。
本記事では、既存の工場にクリーンルームを導入を検討する際にあらかじめ確認しておくべきポイントについて解説します。
クリーンルームとは?
クリーンルームは、微粒子や微生物などの不純物が空気中に浮遊する数を管理し、空気の清浄度を保った空間のことです。食品や医薬品、精密機器などさまざまな産業分野で導入されています。クリーンルーム内で作業を行うことにより、製品に不純物が付着することを防ぎ、品質を保護しやすくなります。
製品によって必要な清浄度が異なるため、用途に応じて室内の圧力、湿度、温度、静電気、電磁波などの環境条件を管理し、適切な清浄度を保ちます。
クリーンルーム導入でよくある失敗
クリーンルームを導入して、運用していく中で以下のような失敗が起こることがあります。
- 導入費用の安さを優先してしまったため、運用していくうちに洗浄度が保てなくなってしまった。
- 工場の空きスペースを活用したところ、必要な清浄度を満たしたクリーンルームにならず、作業に支障をきたした。
これらの失敗を避けるためには、導入前に費用だけでなく、クリーンルームの適合性や設置場所の適切さなど、多角的な視点から検討することが重要です。以下に導入を検討する際に確認すべきポイントを紹介します。
クリーンルーム導入検討時に確認すべきこと
導入場所の前後の動線に配慮できているか
室内の清浄度のレベルを維持するためにも、室外から異物を持ち込まないことも重要です。例えば、クリーンルーム内に入る前段でエアーシャワーを導入することも有効な手段の一つです。
そのため、クリーンルームを導入する場所の前後の動線も含めて検討が必要です。
一定の天井高やスペースは確保できているか
クリーンルーム内では、清浄度を保つための設備を設置したり、適切な気流を確保する必要があるため、一定の天井高やスペースが必要になります。
適切な天井高やスペースが確保されていない場合では、気流が十分に確保されず微粒子や微生物の均一な除去が難しくなり、既存工場の躯体改修が必要になります。
製品に適した清浄度を維持できるか
クリーンルーム内では、主に「一方向流方式」と「非一方向流方式」の2種類の気流を採用しています。
一方向流方式では、空気が一方向に流れるように設計されていて、絶えず空気が循環するため浮遊物が発生しにくく、主に高度な清浄度が求められる環境で使用されます。
一方、非一方向流方式は空気の流れが複数の方向に向かうように設計されています。清浄度は一方向流方式よりも低くなりますが、費用面が抑えられたり運用がしやすいというメリットがあります。
クリーンルームは清浄度を維持するために基本的に24時間稼働させる必要があります。そのため、運用するうえでのランニングコストと、製品に適した清浄度を考慮して設備を検討する必要があります。
これらの要素を考慮し、適切なクリーンルームの導入計画を立てることで、効果的に活用することができます。
まとめ:クリーンルームの導入を考え始めたら、まずは既存工場の現状把握から
クリーンルームの導入は、空きスペースの有無や費用感だけで進めるのではなく、まずは既存工場の現状を確認し、製品に適した清浄度に関する要件を細かく把握することが重要です。そのためには、専門家や建築企業に相談することをおすすめします。
SAWAMURAでは、製品に合わせたクリーンルームの建設や費用対効果、運用面を考慮した総合的な提案を行っています。
SAWAMURAのクリーンルーム建設事例はこちらをご確認ください。
- 執筆者
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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
2020年からSAWAMURAの食品工場プロジェクトに参画。2022年から正式入社し同職に。食品工場建築と資産活用で多くの実績を持つプロフェッショナル。
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