建てて終わりじゃない。食品工場の運用トラブルに迅速に対応するためには?
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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
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食品工場は建設したら終わりではありません。その後の運用が安全かつ安定して行えることが非常に重要です。冷凍設備や空調など、食品工場では特有のトラブルが発生する可能性があります。これらの万が一のトラブルに迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが欠かせません。
本記事では、食品工場の運用におけるトラブルとその対応策について解説します。
食品工場で起こりうるトラブル
食品工場では、衛生や品質に直結するトラブルが発生する場合があります。例えば以下のようなトラブルが起こります。
冷蔵庫の故障によるトラブル
冷蔵庫の故障は、食品の安全や品質維持に深刻な影響を及ぼします。特に夏場は冷蔵機能への負荷が増大することから、冷却能力が不足すると食材の品質が劣化する可能性があります。
その結果、製品の製造が困難になるだけでなく、完成した製品の保管にも支障をきたす恐れがあります。
結露による漏電のトラブル
食品工場では、結露が原因で漏電などのトラブルを引き起こすことがあります。
例えば、冷蔵庫の天井部分と天井裏の間で温度差の影響により結露が発生する場合があります。発生した結露が電線を伝うと漏電が発生し、工場全体の電力供給が停止する可能性があります。
空調機能の故障によるトラブル
空調機能が故障すると、工場内の温度や湿度が適切に管理できなくなり、食品製造環境が悪化する可能性があります。特に温度や湿度の上昇は菌の繁殖を助長し、食品の安全性に重大なリスクをもたらします。
これらのトラブルが発生すれば、商品が供給できなくなり企業の信頼性やブランドに深刻な影響を与えてしまいます。さらに安全、品質管理が適切に行えない状況が続けば、消費者の健康にも影響を及ぼしかねません。
こうしたトラブルを最小限に抑えるためには、迅速かつ適切に対応できる体制の構築が不可欠です。
トラブルに迅速に対応できる体制を築くためには
運用中のトラブルに迅速に対応するためには運用開始後のサポート体制が整っている建設会社を選ぶことが重要です。その中でも特に注目すべきポイントを紹介します。
協力業者と常に連携が取れる建設会社を選ぶ
食品工場の運営では、トラブル発生時に迅速かつ適切に対応できる協力業者の確保が欠かせません。これまでに取引実績があり信頼できる業者がいる場合には、工場建設プロジェクトに加わってもらうことも効果的です。これらの緊急対応を含めた、運用面の配慮がある建設会社を選ぶことで、運営開始後も安心して工場を運用できます。
設計施工一貫の建設会社を選ぶ
設計と施工を別々の会社が担当している場合、トラブルが発生した際に問題の把握に時間がかかったり、責任の所在が曖昧になってしまうことがあります。
このような事態を避けるためにも、設計から施工までを一貫して行う建設会社を選ぶことが有効です。設計施工一貫体制では、設計と施工の各段階が密接に連携しており、全てのプロセスを一元的に管理できます。そのためトラブルが発生した場合でも、原因の特定や対応が迅速に行えます。
SAWAMURAの「Food Archi」で実現する安心の食品工場運用
SAWAMURAは「Food Archi」というプロジェクトで食品工場建設をサポートしています。工場の設計から、建設後の運用やメンテナンスにも焦点を当て、長期にわたるフォロー体制を整えています。
Food Archiのフォロー体制の特徴
設計施工一貫方式で責任が明確
SAWAMURAは、設計施工一貫方式を採用しているため、設計から施工、メンテナンスに至るまでの全てのプロセスを一貫して管理することができます。
社内に専門のメンテナンス部門がある
建設後の運用をサポートするため、SAWAMURAは専任のメンテナンス部門を社内に設けています。この部門は、稼働後の設備やトラブルに迅速に対応できる体制を整えており、問題が発生した際には即座に対応します。また、定期的な点検を実施し、長期的な視点での運用サポートを提供しています。
BIMを用いた図面作成を行っている
SAWAMURAでは、BIM(Building Information Modeling)を用いて、工場の構造や設備などに関する情報をデータ化し、図面作成を行っています。
データ化することにより配管や配線、天井裏の情報といった目視できない部分の情報を把握できるだけでなく、建設後しばらく経っていても図面の所在を心配する必要がないので
問題箇所の特定が迅速に行えます。
また、機械の更新やラインの変更があった際には、それらの履歴も記録として残せるため、最新の情報を基に迅速な対応が可能です。
まとめ
食品工場の建設プロジェクトにおいて重要なのは、「建てる」ことだけではありません。運用していく中で発生するトラブルに、いかに迅速かつ適切に対応できるかが重要です。
これから工場建設を検討する際には、運用後のサポート体制やアフターフォローが充実している企業を選ぶことが不可欠です。建設段階からその後の運用を見据えて安心の工場運用を実現しましょう。
- 執筆者
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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
2020年からSAWAMURAの食品工場プロジェクトに参画。2022年から正式入社し同職に。食品工場建築と資産活用で多くの実績を持つプロフェッショナル。
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