初めての食品工場建設。まず考えるべき3つのこと

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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
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「生産量の増加に対応したい」「HACCPに対応した工場にしたい」
といったきっかけから、新たに食品工場の建設を検討される企業は少なくありません。
とはいえ、工場建設に携わるのが初めてという担当者の方も多いのではないでしょうか。食品工場の建設は、そう何度も経験するものではなく、「何から考え、どう進めていけばいいのか」がわかりにくいという声もよくお聞きします。
本記事では、初めて食品工場建設を担当する方に向けて、まずはじめに考えるべき3つの視点を整理してお伝えします。
食品工場建設は「長く・大きく・複雑」なプロジェクト
食品工場の建設は、一般的な工場よりも高い衛生基準や法令対応が求められるため、より慎重かつ計画的な準備が必要です。
計画から稼働までは、通常2〜3年程度。その間に行うべきことは多岐にわたります。
プロジェクトの主なステップ
- 基本計画の策定(コンセプト設計・事業計画立案)
- 土地や既存建物の調査・取得
- 建築設計・設備計画
- 見積もり・資金調達
- 建築・設備工事
- 各種申請、検査、衛生マニュアル整備 など
費用の目安と内訳
建築費は構造・規模・地域・仕様により異なりますが、鉄骨造での坪単価は数十万〜百数十万円が一般的です。
さらに以下のような費用も必要になります。
- 解体・地盤改良などの準備工事費
- 製造ラインや生産設備費
- 空調・排水・衛生設備などの付帯設備費
このように、食品工場の建設は、時間も費用もかかる大規模なプロジェクトです。だからこそ、最初の段階で「どんな目的で、どのような工場を建てるのか」を明確にし、計画の軸をしっかり固めておくことが、成功への第一歩となります。
そのために欠かせないのが「基本計画」です。これは、工場建設の全体像や方向性を定めるための土台となるものです。
食品工場で最初に考えるべき3つの視点
食品工場の建設では、初期段階での整理がその後の工程すべてに大きく影響します。
計画の精度を高めるためにも次の3つの視点を押さえておくことが大切です。
1.目的の明確化:なぜ、工場を建てるのか?
新工場の建設には必ず何らかの目的があります。たとえば、
- 生産量の増加に対応したい
- 老朽化した工場のリスクを回避したい
- 複数の工場を一つにまとめて運用効率を上げたい
- 衛生レベルを高めたい(HACCP対応)
- 新しい商品に対応するためのラインをつくりたい
- 補助金を活用してコストを抑えたい
こうした目的によって、建てるべき工場の仕様や立地、必要な設備も変わってきます。
2.生産能力の確定:何を、どれだけ、どう作るか?
どんな製品を、どのような工程で、どれくらいの量を作るのか。
これを把握することで、必要な建物の広さや構造、配置すべき設備が見えてきます。
あわせて、人員計画や保管スペース、搬出入の動線などもイメージできるようになり、実際の運用を見越した設計が可能になります。
3.目標予算の設定:限られた資金をどう活かすか?
工場建設では、土地・建物に加え、機械、インフラ、人材、さらには稼働後の運用コストなど、多岐にわたる費用が発生します。
限られた予算の中で、すべてを理想どおりに実現するのは難しいケースが多いため、「どこを重視し、どこでコストを抑えるか」といった優先順位を見極めて、予算を立てることが重要です。
まとめ:まずは「全体像」をつかもう
食品工場建設は、長期にわたり多額の費用がかかるプロジェクトです。
そのため、初期の段階で
何のために建てるのか(目的)
何をどれだけ作るのか(生産能力)
どこにどれだけ投資するのか(予算配分)
を明確にし、軸のブレない計画を立てることが、成功への近道になります。
私たちSAWAMURAは、お客様の状況やご要望を一緒に整理するところからご支援し、食品工場建設をサポートします。
ぜひお気軽にご相談ください。
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- 執筆者
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JHTC HACCP上級コーディネーター / MBA
- 鈴木 戒
2020年からSAWAMURAの食品工場プロジェクトに参画。2022年から正式入社し同職に。食品工場建築と資産活用で多くの実績を持つプロフェッショナル。
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