工場にこそ必要なデザインの力

工場にこそ必要なデザインの力

製造業を取り巻く環境は急激に変化し「作れば売れる」時代は終わりを告げました。現在、求められているのは、企業や製品が持つ価値やメッセージを明確に伝えるブランディングです。なかでも注目されているのがデザインの力であり、経済産業省・特許庁は「デザイン経営」を推進しています。この記事では工場におけるデザインの力について考えます。

デザインの力はどう経営に生きるのか

経済産業省・特許庁は「産業競争力とデザインを考える研究会」での議論を2018(平成30)年5月に報告書「『デザイン経営』宣言」としてまとめ、以降、デザイン経営を推進しています。デザイン経営とは、デザインの力を「ブランドの構築」や「イノベーションの創出」に活用しようとする経営手法です。

 

イノベーションは本来「革新・新機軸」などを意味しますが、日本では「技術革新」と訳されるように、長らく技術こそがビジネスを発展させる力であると捉えられてきました。現に戦後の高度経済成長は技術を核にして成し遂げられました。

 

しかし、家も車も家電も作れば売れる時代は終わりを告げ、つくり手の思いに共感が集まり、地球環境への影響を踏まえたものづくりが求められるようになりました。なぜそれを作るのか、ものづくりに込めた意味や社会的な意義を、言語化あるいは視覚化して内外に伝えていく必要があります

 

デザインは単に作るものの「見た目を良くする」ことや、伝えることの「体裁を整える」ことに有効なだけではなく、「価値や意味を表現する」こと、つまりブランディングに必要な力があります。さらに見えない問題点を洗い出し、隠れた魅力や新たなニーズを掘り起こす力があるのです。

参照元|特許庁

工場にデザインを取り入れた事例

工場は、技術の集積するものづくりの現場です。効率性と機能性に特化し、空間もコストも極力無駄を省くことが当然とされてきました。デザインといえば製品に対するものと考えがちですが、工場にデザインを取り入れることは、経営に大きく寄与することにつながります

 

ここで、デザインの力で変革を成し遂げた製造業の事例を紹介します。

 

京都府与謝野町の「シオノ鋳工」は鋳鉄製の鋳物を製造する企業で、1830(天保元)年創業という長い歴史を持ちます。与謝野町を含む丹後地域には日本最古の製鉄所跡があり、古くから機械金属業が盛んですが、近年は若者の流出が顕著で、人材の確保が困難でした。

参照元|京都府・丹後地域半島振興計画

 

この状況を打破するため、シオノ鋳工では経営理念の策定やロゴの制作にはじまるブランディングに取り組み、新工場「ZIP SQUARE(ジップスクエア)」を開設しました。ZIP SQUAREは製造現場である「ファクトリー」と、一般のお客さんが鋳物体験のできる「ラボ」、社員食堂を兼ねた「カフェ」から成ります。

 

芝生の広場に面した建物群は、町を訪れた人が立ち寄るランドマークとなることを目指し、それぞれの建物が機能に合わせて美しくデザインされています。外装は木目調の「カフェ」、黒く重厚感のある「ラボ」、どちらも広場に面してガラス張りで、一般客に向けて開放的な造りです。

 

敷地奥に立つ「ファクトリー」は田んぼに囲まれて壁の白さが際立ち、イメージカラーの青がアクセントとなり、大きく掲げたロゴマークが企業の存在感を示しています。内装も照明器具や什器、サインに至るまでデザインが行き届いています。

 

それまで閉じられていたものづくりの現場にデザインを取り入れ、広く開放したことで、新工場は多くの人が訪れる場となり、町に暮らす人にとって地元への誇り、社員にとって働く意欲につながりました。そしてU・Iターンの若い社員の増加につながっています。

参考事例|企業単体で取り組むオープンファクトリー集

デザインの力でブランディングを進める

特許庁が実施したデザイン経営に取り組む企業96社への調査の結果から、ブランディングに関わる課題を抽出してみると、おもに「経営陣の理解不足」と「全社的な意識の不統一」が挙げられています。 

参照元|特許庁「デザイン経営」の課題と解決事例

 

ここで求められているのは「経営陣が理解し積極的に関与すること」と「社員と共有すること」。つまり、経営ビジョンとインナーブランディングの確立です。

 

デザイン経営の前提として、ビジョンの確立とインナーブランディングが求められ、それがアウターブランディングにつながるのです。

 

  1. 経営者が理解する(=ビジョンの確立)
  2. 社員と共有する(=インナーブランディング)
  3. 社会と共有する(=アウターブランディング

 

シオノ鋳工が掲げるビジョンは「100年後も成幸であり続ける」。そのために地域の100年後も見据え、新工場での新事業がはじまりました。

 

デザインの力は、工場の「見た目を良くする」だけでなく、ものづくりの現場を「ファクトリー」として公開し、社員のための給食を「カフェ」として地域に開き、鋳物に親しむ「ラボ」を設けるという、事業を再構築して「企業の価値や意味を表現する」ことに生かされ、ブランディングを推進しています

 

SAWAMURAは、地域の製造業をデザインの力で変える工場建設に取り組んでいます。デザインの力でブランディングを推進する工場建設に興味がある方はSAWAMURAまでお問い合わせください。

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