工場建設にブランディング視点を。SAWAMURAが考える「働く場所」の価値
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工場建設というと、効率や生産性を重視したシンプルな空間を想像する方が多いかもしれません。しかしSAWAMURAでは、企業が大切にしている思いを「ブランディング」の視点で取り入れた工場建設を提案しています。
本記事ではSAWAMURAのブランドコミュニケーション課の和田山さんにお話をお聞きし、SAWAMURAが工場建設にブランディングの考え方を取り入れたきっかけや、工場がブランディングに取り組む意義についてSAWAMURAの思いをお伝えします。
話し手
和田山 ブランドコミュニケーション課
聞き手
工場建設ソリューション編集部
企業の思いや「らしさ」が伝わるために
——まず、ブランディングというと、いろいろな解釈があると思いますが、SAWAMURAが考えるブランディングについて教えていただけますか?
ブランディングを表す際に、私はグッドデザインカンパニーの水野さんがおっしゃっている「似合う服を着ること」という表現をよく引用します。この言葉がブランディングの本質を一番わかりやすく伝えていると思います。見た目を整えるだけでなく内面やふるまいも一貫していることが大切だ、と解釈しています。
つまり、大切にしている価値観や伝えたいメッセージを、企業「らしさ」として表現することがブランディングなのではないでしょうか。
こうした「らしさ」には現在のありのままの姿だけでなく、目指す未来の姿も含まれます。企業として成長していくためには、これまで大切にしてきた価値観を土台に、どのように成長し進化していくべきかを考えることが重要だと思っています。
安心して働ける環境づくりが企業の信頼につながる
——店舗やオフィスであればイメージができるのですが、工場をブランディングするという考え方はまだ一般的ではない気がします。SAWAMURAがこの2つを結びつけようと考えたきっかけはなんでしたか?
確かに、工場建設でブランディングというと少しピンとこないかもしれませんね(笑)。実は私たちも最初からその視点を持っていたわけではありません。2018年に行った当社のリブランディングプロジェクトがきっかけです。
プロジェクトの一環として、本社オフィスを一新しSAWAMURAが大切にしていることや目指す未来をオフィス空間に表現しました。その結果オフィス内のコミュニケーションが活発になり、働きやすさも向上しました。さらに新卒エントリー数が約10倍に増加するなど、外部からの評価も大きく変わりました。
SAWAMURA高島本社オフィス
その少し後に日野精機様から新工場の建設についてご相談をいただきました。
日野精機様が私たちのオフィスを見学された際「うちもこんな空間を作りたい」とおっしゃっていたんです。そのお言葉をきっかけに工場も生産性や効率だけでなく「働く場所」として、オフィスと同じようにブランディングの視点を取り入れられるのではないかと考えるようになりました。
日野精機様工場内の休憩室
実際に日野精機様の工場が完成した後「この工場なら働いてみたい」という求職者の声が増えたと伺っています。自社ブランディングでの体験と日野精機様のプロジェクトを通して、工場にもブランディング視点を取り入れる大切さをもっと多くのお客様に伝えていきたいと思うようになりました。
——では「ブランディング視点で工場を建てる」とは具体的にどのようなことを行うのですか?
たとえば、SAWAMURAが手がけたカズテック様の工場建設プロジェクトでは「従業員の労働環境を改善したい」というご要望からスタートしました。当時の工場は老朽化した狭い建物で、休憩スペースが事務所と同じ空間にあり、不便な環境が課題となっていました。
そこで休憩所と食堂を温かみのある一体空間にし、さらに外部テラスを設置することで快適さと自然なコミュニケーションが生まれる環境を実現しました。
初めからブランディングを意識していたわけではなくても、従業員が働きやすく快適な空間を追求する中で、他社にはないカズテック様らしさが自然と形になり、結果的にブランディング効果が生まれたと感じています。
多くのお客様からも「従業員に自社で働いていてよかったと思ってほしい」という声をよく耳にします。この「従業員のための環境作り」という姿勢こそがブランディングにつながると思っています。いわゆるコーポレートブランディングのように「明確なミッションやビジョンを掲げ、ロゴを決めて…」といった形式ばったものではなくても、工場がどのような働き方や価値を提供したいか、というコンセプトを持つだけでも十分なのです。
たとえば、閉鎖的な会議室をガラス張りで開放的にするだけでも「透明性を大切にしている」というメッセージが自然と伝わりますよね。
カズテック様工場内の会議室
——従業員が働きやすく、快適な空間を考えていく中で自然とその企業らしさが表現され、それがブランディングにもつながっているということですね。実際、そうした職場環境の改善を求める企業は増えているのでしょうか?
近年では製造業に限らず、多くの企業が採用や離職率の問題に直面しています。「人」がますます貴重な存在となる中で、工場の外観やエントランス、製品や技術展示などの来客時に目に触れる部分を整えることももちろん大切ですが、従業員が長く働き続けられる環境づくりという「内向きの取り組み」もますます重要になると考えます。
従業員がいきいきと働ける工場は、自然と「信頼できる企業」という印象を社外にも与えるものだと思います。
——働く場所として従業員が長く過ごす空間だからこそ、どう過ごせるかを考えることが大切なのですね。具体的には、どんな場所に工夫が現れるのでしょうか?
たとえば休憩室や食堂ですね。外にパイプ椅子を置いて短い休憩を取るのと、清潔で落ち着いた空間でリフレッシュできるのとでは、休憩の質が大きく変わります。
最近では食堂をカフェ風にデザインしたり1人でゆったりできる席を設けたりと、より落ち着ける工夫を取り入れた工場も増えています。
また更衣室やシャワールームが完備されていると、業務を終えた後に身支度や身だしなみを整えやすく、ワークライフバランスの向上にもつながります。
こうした空間があるだけで、日々の働きやすさに大きな差が出てくるんです。
工場が「働きたい場所」になるまで
——実際に工場建設のプロジェクトを進めるにあたって「企業らしさ」はどのようにまとめていくのですか?
経営層だけでなく、特にこれから長く働いてほしい若手や中堅社員も参加するプロジェクトチームを作ることをおすすめしています。特に現場で働く人の声を反映させることで、より働きやすい工場づくりにつながると考えています。
プロジェクトを進めるにあたっては、企業として目指したい姿を共有したり、現在の課題を発見したりするためにワークショップを設計することもあります。たとえば、「従業員がしっかりと休めていない」という現状から、「従業員が快適に働ける環境づくり」を目指し、最終的には「地域で一番働きたいと思われる企業になる」というようなビジョンまでを自分たちで生み出して共有することで、進むべき方向やブランディングの軸を明らかにしていきます。
現場の担当者を含めたメンバーが積極的にプロジェクトに参加することは、自社への理解を深めたり、自分たちの未来を考えたりするきっかけにもなります。私たちは、従業員が働きやすく誇りを持てる工場をお客様と一緒に作り上げていきたいと思っています。
そのためにもコンサルティングのような立ち位置で解決策を提供するのではなく、お客様が主体的に考え、解決策を見出せるように伴走型のサポートを心がけています。
ワークショップの様子
——今後SAWAMURAはどのように工場建設に携わっていきたいですか?
私たちのミッションは、お客様の会社の良さを引き出すこと。その結果、そこで働きたいという人が増えていくようにと考えています。工場には3K(きつい、汚い、危険)というイメージが根強く、やりがいが少ないと見られることも多いですが、そんなイメージを変えていきたいと思っています。
「工場で働くってかっこいい」「こんな工場なら働いてみたい」と感じてもらえるような場所が増えるように、これからも工場建設を通じて働く場所としての価値を高めていきたいです。
- 執筆者
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- 工場建設ソリューション編集部
工場建設ソリューションは、企業の事業推進に貢献する工場建設をテーマに、最新情報、ノウハウ、事例をお届けするWebメディアです。
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