増改築か、新築か。工場の建設計画を立てる際に注意するポイントは?
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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
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工場の建築計画を立てる際には、新築するか既存の建物を増改築するか大きく2つの選択肢が存在します。そしてどちらが適切なのかを判断するには、それぞれの特徴やメリット、デメリットを把握することが重要です。
本記事では、工場や増改築と新築、それぞれの特徴や注意点について解説します。
企業が工場の新築や増改築を検討する理由
企業が工場の新築や増改築を検討する理由としては以下のようなケースが考えられます。
- 受注量が増えて、さらなる増産をしなければいけない
- 建物の経年劣化により、新しい設備が入れられなかったり、耐震性能などに問題が発生している
- 過去に増改築を繰り返し、現状が違法建築状態になっている、またはその可能性がある
いずれの理由にせよ、できるだけ早急に計画を立てる必要がある状態です。
増改築か新築か?
では、工場の建築計画を立てる際、増改築と新築のどちらが適切なのか。それぞれの特徴と注意点を以下のようにまとめました。
増改築の特徴
増改築は、建物の一部を改装したり、新築部分を増築することで、工期を短く済ませることができ、コストも抑えることができます。ただし、既存建物を活用するため、施工には制約があることや、増改築を繰り返すと違法建築になる場合があることから、法的な注意が必要です。
新築の特徴
新築の特徴は、用途に合った建物を建てるために設備や機能が充実していること、工期やコストに制約がないため自由度が高く、オリジナリティのある建物を作れること、建物の設計から施工まで一から行うため、既存の建物を活用する場合と比べ、コストが高くなる場合があることです。
新築では、建物の用途や将来的な拡張に合わせた設計を行い、周辺環境の整備や法令や地域の条例に適合するよう建築許可申請や施工前の確認が必要です。また、建物の性能や品質を確保するため、施工業者や施工方法の選定にも十分な注意が必要です。
増改築時の注意点
- 増築や改築によって構造上の問題が生じる場合があるため、設計時に注意が必要である
- 既存建物と新築部分の接合部に問題が生じないよう、施工時に細心の注意を払う必要がある
- 耐震性能が確保されているか、耐震等級の確認を行う必要がある
- 法令に違反しないように、設計や施工時に十分な配慮が必要である
- 現行の敷地に目一杯工場や倉庫が立っている場合、工場の操業を止めないと増改築が行えない可能性がある
新築時の注意点
- 用途に合わせた設計を行い、将来的に拡張が可能な設備や機能を導入することが重要である。
- 建物の位置関係や駐車場など周辺環境の整備も重要である。
- 法令や地域の条例に適合するよう、建築許可申請や施工前の確認が必要である。
- 建物の性能や品質を確保するため、施工業者や施工方法の選定にも十分な注意が必要である。
まとめ
増改築については、コストや工期などのメリットがある一方で、既存建物を利用するための制約や法的な問題もあるため、注意が必要です。
新築については、オリジナリティのある建物が作れる反面、コストが高くなる場合もあります。特に増改築の場合はコスト面だけを重視した計画を立案、実行した場合、結果的に想定していなかったリスクが発生する可能性もあります。
自社工場の増改築や新築計画立案を検討する際は、まず信頼のおける建築会社や設計会社に相談することをお勧めします。
- 執筆者
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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
営業企画課課長。工場管理経験と設計業務を経験し、2018年にSAWAMURAに建設プロデューサーとして入社。現場・設計・営業を知るオールラウンダー。
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