適正な工期の設定方法について解説。より良い工場建設のためにできることとは

適正な工期の設定方法について解説。より良い工場建設のためにできることとは

工場建設において、定められた期間で竣工させるのは当然のことですが、そもそも適正な工期が設定されないと、建設現場に負荷をかけ、施工品質の低下につながりかねません。では「適正な工期」とは何か、どう設定すべきかを紐解きます。

適正な工期が求められる背景

労働基準法では、法定の労働時間は「1日8時間・週40時間」、休日は「少なくとも週1日または4週4日以上」としています。週休2日制は義務化されているわけではなく、罰則もありません。しかし多くの会社で週休2日制を導入しているのは、週5日8時間労働すれば週40時間に達するからです。

 

建設業は週休1日とする会社がほとんどです。「日当が減ってしまう」という下請側の理由と、「工期が長引く」という施主や元請側の理由から、週休2日制の導入はなかなか進んでいません。こうしたことが建設業の人手不足の原因のひとつとされています。

 

この現状を踏まえ、国土交通省は令和元年に「新・担い手3法」を成立させ、翌年には中央建設業審議会において「工期に関する基準」を定めました。今、公共工事だけでなく民間工事でも「適正な工期」の設定が求められています。

準備と片付けも含めて「工期」

工期とは、工事開始日から工事完成日までの間を指します。「工期に関する基準」によれば「工期は大きく分けて準備・施工・後片付けの3段階に分けられる」とされ、施工に先立って行われる準備段階と、着工後の後片付け段階も含まれます

ひとつの建設工事の流れの中でも発注者と受注者の間で決める工期があり、元請と下請である各種専門職の間で決める工期があります。関係者が協議のうえ、全工程を通して適切な工期を決める必要があります。この際、著しく短い工期の設定は禁止されており、工期の延長など変更になる場合も協議を必要とします。

「適正な工期」の条件とは

では、適正な工期とは、具体的にどんな条件が含まれるのでしょう。「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」では、次のような内容を求めています。

 

  • 準備期間の確保|施工に先立って行われる資材や機材の調達、人材の確保、調査、測量、現場事務所の設置、BIM/CIMの準備などに必要な期間をいいます。
    ※BIM/CIM(Building/ Construction Information Modeling, Management)とは、部材ごとの属性情報などを組み合わせた3次元モデルを構築すること
  • 休日の確保|建設工事に従事する人の週休2日、祝日、年末年始および夏季休暇の確保が求められます。
  • 作業不能日の考慮|施工期間中の降雨日や、祭りや交通事情による地域ごとの作業不能日をあらかじめ考慮しておく必要があります。
  • 後片付け期間の確保|施工終了後の検査や清掃などを含みます。
  • 余裕期間の設定|建設資材や人材確保のため、工事の始期や終期を柔軟に設定することができます。

適正な工期を設定する方法

上のような条件を踏まえ、次のように工程を組んで工期を設定します。さらに余裕期間を加えての工期とする場合もあります。

図版_工期の設定方法

工期=準備期間+施工期間+後片付け期間=A+B+C+(D+E-F)+G

 

作業所要日数=実働日数+雨休日数=実働日数+(実働日数×雨休率)=作業の実働日×(1+雨天率)

 

※雨休率は、休日と降雨日などの年間発生率のこと。地域ごとの数値または標準値0.7を用いる

工期を守るためにできること

設定した工期を守るためにはフロントローディングの実施、つまり建設プロジェクトの初期段階から集中的に検討することが大切です。これによって仕様変更や手戻り(やり直し)を未然に防ぎ、工期短縮だけでなく品質向上など事業全体の効率化を目指します。具体的には次のようなことが挙げられます。

 

  • BIM/CIMを導入する 
    • 測量・地質調査の結果と周辺状況の情報を見える化する
    • 設計ミスや部材の干渉がないか確認する
    • 維持管理に必要な情報を考慮して設計・施工する
  • 計画時から図面・資料の提出など期限を設ける
  • 資材の発注や職人の確保を確実に行う
  • 繁忙期や台風シーズンを見越して日程を組む

まとめ

建設業では、長時間労働と人材不足が課題となっていますが、2024年4月から時間外労働に罰則付きで上限規制が設けられます。そうしたなかで、発注する側は適正な工期を設定しなければならず、受注する側は下請も含めた工事に従事する人が不当な短い工期を迫られることがないようにしなければなりません。適正な工期の設定が建設業の働き方改革、ひいては建設業の未来を守ることにつながるのです。

 

工期以外にも考えなければならないポイントはいくつかあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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