支払いのタイミングはいつ?工場建設に関わる資金の流れを解説

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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
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「どんな費用が発生して、いつお金が必要になるのかがイメージできない」。 初めて工場建設に携わる担当者の多くが、こうした不安をお持ちではないでしょうか。
工場建設は数億円規模になることも珍しくなく、金額の大きさに圧倒されがちです。しかし、実際には費用が一度に発生するのではなく、設計・建築・設備導入といった各段階で支払いが分かれて発生します。
その流れを把握できていないと
- 想定外の時期に支払いが重なり資金が足りなくなる
- 社内決裁が間に合わず、支払い遅延でプロジェクトに影響が出る
- 補助金や融資の入金時期とのズレで計画が狂う
といったトラブルにつながる可能性があります。
本記事では、工場建設で「どの段階でどんな支出が発生するのか」を整理し、担当者がつまずきやすい落とし穴と、その回避策を解説します。
工場建設における主な支出とタイミング
工場建設のお金の流れは、大きく次のような項目に分かれます。 「いつ」「どんなお金」が必要になるかを把握しておきましょう。
項目 | 支払いのタイミング | 担当者が知っておきたい ポイント |
土地代 | 契約時に一部、引き渡し及び所有権移転時に残りの全額 | 借地なら保証金や年間賃料が必要 |
設計費(基本設計・実施設計) | 契約時・設計完了時などに分割される場合が多い | 設計事務所へ直接か、施工会社一括かで流れが変わる |
建設工事費 | 着工時・中間・引渡時で分割される場合が多い | 契約形態により支払回数が異なる。金額も大きい |
生産設備・機械費 | 発注時に一部、納品・据付時に残額 | 据付や試運転費が別請求になる場合もある |
外構・造成工事費 | 着工時・引渡時で分割される場合が多い | 駐車場や緑地整備など、追加費用になりやすい |
諸経費・仮設費 | 工事費に含まれる場合と別途の場合あり | 仮設電力、保険、監理費など。見落としやすい |
補助金 | 工事完了後に精算払い(半年〜1年以上後) | 後払いが基本。立て替え払いを前提に資金繰りを考える |
これらのように支払いが段階的かつ複数のルートで同時進行するケースが多いです。
建設会社への支払いと、設備業者への支払いが別々に発生するケースも多く、資金繰りに思わぬ負担がかかることがあるため注意が必要です。
工場建設でよくあるつまずきと解決策
建設費と設備費が重なり、資金繰りがひっ迫してしまう
工場本体の引渡し時期と設備導入の支払いが重なり、数千万円単位の資金が同時に必要になるケースがあります。
早い段階で「建設会社」「設備業者」双方の支払い予定を一覧化し、重なる時期を把握。必要に応じて融資枠や支払い条件を調整しておくと安心です。
社内決裁が支払いに間に合わない
稟議書に「総額」しか書かず、分割払いの承認を得ていなかったため、各支払いごとに決裁が必要になり、手続きが遅れることがあります。 稟議書には「金額+時期」を明記した支払予定表を添付すると経営層や経理部門も判断しやすくなるため、スムーズに承認が進みます。
補助金を即時入金と勘違いしてしまう
補助金は原則「立て替え払い」であり、入金まで半年〜1年以上かかることもあります。自己資金や融資を考慮していないと資金不足に陥る危険があります。補助金は遅れて入るお金として計画に組み込み、予備資金などを検討しておく必要があります。
外構や内装費が見落とされる
「建物=工場」と考えてしまいがちで、外構・駐車場・緑地・内装などの付帯工事を後回しにしてしまうことがあります。
早めに建設会社と工事範囲を明確化し、別契約になる場合は必ず支払いスケジュールに含めるようにしましょう。
まとめ
工場建設では、総額の把握だけでなく「いつ、何に、いくら払うか」を見える化することが不可欠です。支払いは複数ルートから同時に発生するため、資金計画や社内決裁の準備が大きなポイントとなります。
ただし、これらの調整を初めての担当者が進めるのは簡単ではありません。だからこそ、経験と専門知識を持つ建設会社に相談することをおすすめします。
SAWAMURAは、設計施工一貫の建設会社として、プロジェクト初期から社内調整のご支援まで一緒に伴走し、安心して工場建設を進められる体制を整えています。資金計画や補助金活用も含めて、ぜひお気軽にご相談ください。
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一級建築士 / 一級建築施工管理技士
- 宮前 聡志
営業企画課課長。工場管理経験と設計業務を経験し、2018年にSAWAMURAに建設プロデューサーとして入社。現場・設計・営業を知るオールラウンダー。
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