「安い早い」に惑わされない。 工場建設における見積もりの注意点

「安い早い」に惑わされない。 工場建設における見積もりの注意点

工場建設の際に、まず気になるのは建設費ではないでしょうか。複数の建設会社に予算と条件を提示して見積を依頼する必要があります。では、見積の金額が安いほどいいのでしょうか。また、工期を短縮するために見積は急ぐほどいいのでしょうか。見積を比較検討する際に気をつけるべきことをまとめました。

概算見積とは

「概算見積」とは、建築費をおおまかに算出することです。

建設プロジェクトの初期段階で予算を検討するために算出する「超概算」には、建物の「床面積」に「㎡単価」または「坪単価」をかけるやり方があります。しかし単価は過去の類似する建物を参考にするため、誤差は大きく、精度には限界があります

設計図や仕様書などが完成して工事の詳細が決まると、工事に必要な費用を予測し、金額を積み上げて工事全体の費用を算出する「積算」が可能になります。積算によって割り出した工事費に利益を加えて見積書を作成します。これが「概算見積」です。

事業の構想から工事着手まで建設プロジェクトの段階に応じて、見積は「粗から密」にしていくことが大切です。

概算見積は安いほうがいい?

概算見積は「どの項目を計上するか」「その項目にどれだけの作業を含むか」「数量や単位をどうするか」など、概算する人の考えや経験に基づいて作成されるため、相見積の金額に大きな差があらわれる場合があります。

また、施主と建設会社の間にある認識のズレが不安要素となって、建設会社の提示する額が施主にとっては高いと感じられる場合もあります。この場合、打ち合わせを重ねることでズレが解消され、見積の精度は高まり、現実的な金額に近づくはずです。

なぜ、安いのか。なぜ、高いのか。そこには理由があります。「安かろう悪かろう」は、一番避けたい事態です。施主として建設会社とコミュニケーションをよく図り、自社の要望を理解し、最適解を提案してくれる建設会社を選ぶことが肝要です。

見積提出が早い建設会社は、いい会社?

工場建設に際して、どれくらいの予算が必要か早い段階で知りたい際に「超概算」でおよその金額がわかること、しかし設計図面や仕様書などが準備できていない段階での見積は精度が低いことは、すでに述べました。

また、施主の依頼を受けてから建設業者が見積を作成・交付するための「見積期間」が建設業法によって下記のように決められています。

 

工事価格500万円未満|1日以上
工事価格500万円以上、5,000万円未満|10日以上(やむを得ない事情がある場合は5日以上)
工事価格5,000万円以上|15日以上(やむを得ない事情がある場合は10日以上)
※ただし個人が発注する工事で、自ら利用する住宅や施設はこれに含めません。詳しくはこちらをご覧ください

「明日契約したいから、今日見積を出して」「できるだけ早く見積って」という依頼は、建設業法で禁止されています。見積を急いで不当な契約を結ぶことのないように、十分な検討時間を設けることが法律で定められているのです。

急いだところで、不安要素を加味して建設会社が概算見積を高めに設定し、その結果、自社の想定予算に見合わず計画の見直しを迫られ、結局工事が先延ばしになるといった事態になりかねません。

こういった理由から、概算見積は早さよりも精度を重視した方が良いでしょう。そのためにも十分な見積期間を設けることが必要です。

概算見積の精度を上げるために

概算見積では、実際にかかる建築費との誤差が生じやすく、追加工事が必要となって予算オーバーしてしまうことも少なくありません。そうならないためにも、事前に把握しておくべきポイントを4つ挙げます。

1. 法律的な条件

建築基準法や都市計画法で定められた用途または形態規制に適合しない場合、建設計画の変更が必要となったり、そもそも着工できない場合があります。概算見積の段階で、しっかり確認しておきましょう。とはいえ関連法規に適合するかの判断は複雑で難しいため、これも含めて建設会社に相談するのが安心です。

2. 地盤や地形

地盤調査の結果、地盤改良を必要としたり、地形によっては切土や盛土が必要な場合があります。また着工後に岩盤除去工事が必要になるケースもあります。追加工事は事前に把握できるものと、イレギュラーに発生するものがあります。一般的に概算見積の段階では詳細な土地の調査は行われませんが、想定できる追加工事は確認しておく必要があります。

3. 機器や設備

機械設備や空調設備、その他の工場設備は建築費に大きく影響します。仕様変更は追加費用を生みます。必要な機器や設備は、概算見積の段階から明らかにしておきましょう

4. 物価変動

予算を設定した時点から物価に変動があれば、建設費も変動します。労務費や材料費が高騰した場合、予算の増額または計画の変更は避けられません。予算を立てる段階から、外部環境の変化や物価上昇を予測して計画すると良いでしょう。

まとめ

概算見積は、あくまでも目安であり、実際にかかる費用との誤差はどうしても発生してしまいます。しかし、綿密な計画を立て、スケジュールに余裕をもって、建設会社と細かな打ち合わせを重ねることで、追加工事や計画変更は発生しにくくなります。

 

また、工場建設の目的やビジョンを明確にし、建設会社と共有することも大切です。要望をしっかり計画設計に落とし込み、仕様変更などの事態を避けることで、概算見積の誤差を小さくすることができます。

 

工場建設で失敗しないために注意すべきポイントについてはこちらの記事をご覧ください。

資料ダウンロード

工場建築プロジェクト事前チェックリスト

工場建築プロジェクト事前チェックリスト

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
施主様がプロジェクトを失敗なく進めるために役立つ事前チェックリストをご用意しました。ダウンロードは無料ですので、是非お役立てください。

無料でダウンロードする
img_cta_mail@2x
ico_mail

メルマガ登録

工場建設に関する
最新情報、ノウハウをお届けします

メルマガ登録
img_cta_download@2x
ico_download

資料ダウンロード

お役立ち資料の
ダウンロードはこちらから

資料ダウンロード
img_cta_contact@2x
ico_contact

工場建設のご相談

工場建設に関する
ご相談はこちらから

工場建設のご相談