質の高い建物とまちなみを築く「都市計画法」と「建築基準法」

GRAPHISOFT認定BIMマネージャー / BSI Professional Basic: 徳永康治

目次

土地利用に関するルール「都市計画法」
建物に関するルール「建築基準法」
まとめ

日本では「都市計画法」でまちづくりのルールが定められています。都市計画法は、住居、店舗、事務所、工場など、土地のさまざまな利用の仕方を秩序立て、効率的な都市活動の推進、環境の保護、特色ある街並みの形成などを目的としています。

そして「建築基準法」で、建物に関するルールを定めています。建築基準法は、建物を計画的なまちづくりと調和させ、安全や衛生を確保することを目的としています。工場をはじめ建物を建設する際に守るべきルールについて紹介します。

土地利用に関するルール「都市計画法」

日本という限られた国土を有効に利用するため、1974（昭和49）年に「国土利用計画法」が定められました。内容は、大きく①国土利用計画、②土地利用基本計画、③土地取引の規制、④遊休土地の活用に分かれます。

土地利用計画の中心となるのは、都道府県ごとに作成される「土地利用基本計画」で、全国を「都市地域」「農業地域」「森林地域」「自然公園地域」「自然保全地域」の5つに区分しています。そして、それぞれにおけるルールを定めたのが「都市計画法」「農業振興地域の整備に関する法律（農振法）」「森林法」「自然公園法」「自然環境保全法」です。

このうち都市計画法は、1919（大正8）年制定の旧法に代わり、1968（昭和43）年に制定されました。無秩序な市街化による都市環境の悪化や、非能率的な公共投資を抑止するため、そして都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的としています。

都市計画法は地域ごとの実情に即した都市計画を、地方自治体が指定しています。

都市計画法が定める土地利用については「その土地に工場は建てられますか？工場が建設可能な「用途地域」とは」の記事もご覧ください。

建物に関するルール「建築基準法」

「建築基準法」は、建物を建てる際や利用する際に守らなければいけない最低限のルールを定めた法律です。1919（大正8）年制定の市街地建築物法に変わるものとして1950（昭和25）年に制定されました。都市計画法と並ぶ基本法とされています。

都市化や技術向上に伴い、日照権の確立、木造建築の規制緩和など、快適さや安全性を確保するに必要な法改正が行われてきています。建築基準法は、おもに下記のように構成されています。

建物を建築あるいは修繕する際は、市町村などへ建築確認を申請し、確認を受けること。
「単体規定」と「集団規定」で構成され、単体規定は個々の建物に関する基準で全国的に適用される。集団規定は市街地の生活環境などに関する基準で、都市計画区域内に限られる。
集団規定には、建物・敷地と道路に関する基準（敷地は幅4m以上の道路に2m以上接すること）、建物の用途と形態に関する基準（低層・中高層用住居専用地域、商業地域、工場地域など12区分ごとに建蔽率・高さなどを制限する）、防火地域の基準（耐火構造を必要とする）に区分できる。
土地の所有者または借地権者全員の合意により建築協定を結んでも良い。住民自身が建物の用途や意匠、緑化の方法などについて協定を行い、たとえば住宅地での環境保全、商業地での歩行者空間の確保など、建築基準法が定めるより高い基準を取り決めることができる。
行政機関は違法建築物に対して工事停止や除却などの命令を出せる。
建築主事を置く市町村および都道府県に建築審査会を置き、審査請求を処理する。

「建築主事」とは、建物の審査、確認、検査などを行う公務員です。建築主事は人口25万人以上の市と、都道府県に置く決まりがあります。建築主事のいる市や都道府県など地方自治体の長が「特定行政庁」となります。建築基準法の重要な許認可を行う役割を担っています。